テレビ東京「どうぶつピース!」で取り上げられたモンキードッグ。
農産物に被害を与えるサルを追い払うよう
訓練された犬のことです。
発祥は長野県大町市。
立山黒部アルペンルートの玄関口であり、
北アルプス登山の拠点の一つですね。
この記事では「モンキードッグ」の仕事と、
訓練の仕方、その効果についてまとめました。
目次
- モンキードッグの導入の経過
- モンキードッグの訓練と費用は?
- モンキードッグの仕事と効果
1.モンキードッグの導入の経過
大町市内には、確認されているだけで750頭のサルがいます。
過疎化により、里山に人が入らなくなり
耕作放棄地が増えました。
そこで徐々にサルの活動範囲が拡大し、
人の暮らしの範囲に近づいて行ったのです。
農作物被害は年々拡大し、
大町市のサルによる被害は年間2000万円に上りました。
電気柵やロケット花火を用いても
効果がなかなか上がりませんでした。
そんな時「サルを犬が追いかけたら、
逃げ方が必死だった。」との情報が入りました。
そこで、日本警察犬協会・公認訓練士の資格をもつ、
地元の安曇野ドッグスクールと協力し、
「サルを追い払う」モンキードッグの
訓練がスタートしたのです。
2007年3頭の犬が
晴れてモンキードッグとしてデビューしました。
2.モンキードッグの訓練と費用は?
モンキードッグはどんな犬種でもなれるそうです。
適性はもちろんあり、小型の犬よりは中型や大型犬が良いそうです。
サルが怖がるからでしょう。
あと、山を駆け回る為、
足が長いほうが良いということです。
訓練の期間は五か月間。
週に一回ほど、家族が一緒に訓練に参加しなければなりません。
信頼関係の構築と。
どのように犬に指示し、
いうことをきかせるかを学びます。
訓練の上で重要なことは3つです。
1.人やペットに危害を加えないこと
サルを追う際は放し飼いになります。
他の犬と喧嘩したり、
人間を襲ったりする事態は絶対に避けなければなりません。
2.サルを見れば追い払うこと
この訓練は、サルが実際に現れる場所で行います。
飼い犬はサルをあまり見たことがありません。
サルがあらわれると、犬に教えます。
「サル!サル」と連呼し、
「サル」ということばも覚えさせます。
また、サルのふんや匂いも教えます。
そして飼い主とともに走ります。
サルが「追わなければいけない対象」であると教えるのです。
サル以外を追わないように、
他の動物を追った場合は叱ります。
これを訓練できるあたりが
犬の賢さですね。
3.追いかけ終わったら戻ってくること
リードを付けたまま訓練し、
呼びかけや、犬笛で戻ってくるようしつけます。
犬が飼い主のところへ戻ってきたら
ほめることを繰り返します。
だんだん距離を伸ばして訓練します。
「飼い主のところに戻ることはうれしいこと」と
習慣づくまで繰り返します。
なかなか地道で大変な作業ですが、
人間の勉学にも通じるところがありますね。
いずれにしても基本は、飼い主との信頼関係が
大切だということです。
モンキードッグの訓練費用は一頭当たり27万円。
大町市では補助があり、飼い主の負担は5万4千円です。
3.モンキードッグの仕事と効果
毎日散歩がてら、パトロールします。
サルに付けられた発信機や、地元の人の情報を
参考にします・
サルを発見すると、放します。
サルは一目散に逃げるということです。
追い払うと、犬は戻ってきます。
この繰り返しにより、サルに嫌な思いを学習させ、
サルの生息域を500メートル山側へ後退させることに
成功しました。
農作物の被害は激減したそうです。
2010年には農林水産省から
鳥獣被害対策優良活動で表彰されました。
モンキードッグは評判となり、
その取り組みは全国に広がっています。
以上働く犬「モンキードッグ」についてまとめました。
野生生物による農作物被害は深刻な問題です。
筆者も長野県に住んでおりましたが、
サルもカモシカもイノシシもキツネも
何度も目撃しました。
本当に人間に身近なところで生息しています。
賢い犬の特性を活用し、被害が減ると素晴らしいですね。
読んでいただきましてありがとうございました。